ギャラリー

ここでは法台寺に関する民話を2つ、また写真をご紹介しています
 
妙音沢物語
小僧ヶ渕物語
写真
 

妙音沢物語

 

今から250年もむかしのことです。片山地区がまだ十か村にわかれていた頃です。十二天村の鈴木という家にひとりの盲人の子がおりました。生まれながら、かしこい子どもでした。ことに、ちいさい時からびわをひき、よく勉強したので、後には盲人のなかで最も高いところの位である検校職につき、杉山の土地にちなんで杉山検校といわれていました。検校は信仰の心があつく、法台寺の観智国師さまをうやまっておりました。毎日法台寺に詣で国師さまの像をおがみ、また弁財天さまも信じておりました。ある夜のこと、検校は夢に美しい女の人があらわれて、

 「あなたにびわのひき方をお教えいたします。明日、坂の下の沢においでください」

とつげました。検校は不思議に思いましたが、その日、身を清めていわれた場所へ行きました。沢のほとりの草原にすわり、弁財天さまのお名前をとなえているうちに、いつしか眠気をもよおして眠ってしまいました。その時、沢の上の岩の上に、まぶしいばかりの光かがやき、弁財天さまのお姿があらわれました。

 「あなたは、日ごろから信仰心があつく、ことに国師さまをうやまっていることは、まことに感心なことです。今日は私の知っている限りのびわの秘曲をあなたにお教えいたします」

といって、しばらくの間びわをひいてくれました。弁財天さまのひくびわの音色は、まことに美しくこの世のものとは思われぬほどのものでした。いくつかの曲をひきおえた弁財天さまは、いつのまにかお姿が消えていました。検校はねむりからさめて、あたりを見わたしてみると、すぐ近くの桜の木に弁財天さまのお姿の描かれている軸がかかっておりました。検校はこの軸をおしいただき家に持ち帰り、毎日礼拝しましたが、後に法台寺に納められました。このことがあってから、検校のびわのうでは、ますます上達し、その音色は弁財天さまのようになったといわれています。これから後、この沢のことを人びとは「妙なる音の沢」妙音沢とよぶようになりました。後の世、妙音沢には茶店もできて、片山から練馬方面へ行く人たちのいこいの場所にもなりました。また、この場所に市がたつようになりましたので、市場坂の名前もつけられました。

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小僧ヶ渕物語

 

黒目川の下流、片山の嵯峨山の近くに小僧ヶ渕というところがあります。むかし、むかしのことです。辻むらの法台寺にとても可愛い小僧さんがおりました。気だてもやさしく人の言うこともよくききましたので、和尚さんをはじめ、みんなから可愛がられておりました。ある年の4月8日、その日はおしゃかさまの誕生日なので、法台寺では花まつりが行われました。お庭に花御堂をつくり、甘茶を供えるまつりで、大勢の人たちでにぎわっておりました。小僧さんは、花まつりに供える野の草花をつむため、近くを流れる黒目川の河原へでかけました。河原には一面に草花が咲き乱れ、どこからともなく桜の花びらもとんできて、うららかな日よりでした。小僧さんは、おしゃかさまに一輪でも多く供えようと夢中で花をつみました。そして気がついた時には、嵯峨山の下の河原だったのです。むかしから村びとが
 
 「嵯峨山の下へは遊びにいくでねぇよ。あそこには、でっけぇ大蛇がいて、子供がいくと川ん中へ引きずりこまれてしまうだ」

と、子供たちをいましめていた場所だったのです。黒目川の流れも、嵯峨山につきあたると、水の色も青黒くなり、うずを巻いた渕となっておりました。小僧さんは、そんなことはつゆしらず、花をつむことに夢中になってここへきてしまったのです。小僧さんの姿が川面に映ると、一面に何ともいえない妖気がただよい小僧さんは眠気にさそわれてしまいました。そして水中に大蛇の姿が見られました。小僧さんは、しらずしらず渕の中へ吸いこまれるように入ってしまいました。小僧さんの姿は再び見ることができませんでした。小僧さんの消えた水面には大きな水の輪がゆっくりと流れていきました。お寺では、里人たちが小僧さんがいないのに気づき、みんなでさがしましたが見つかりませんでした。そのうちに、小僧さんの草履の一足を嵯峨山下の川岸で見た人がいて、小僧さんはここの川の中へ引きこまれてしまったのだということがわかりました。和尚さんは、小僧さんを大変あわれに思い、めい福をいのり供養をいたしました。それからの後、この場所をだれいうとなしに「小僧ヶ渕」とよぶようになりました。小僧ヶ渕では、これから後もおそろしいことがつづいておこりました。子守をしていた村の娘が小僧ヶ渕に遊びにきていると、子供がいつのまにか渕にのみこまれて死んでしまいました。娘はおどろき悲しみ家に帰ることもできず自分も小僧ヶ渕に身をなげて死んでしまったということです。

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写真館  
   
 
参道から望む法台寺の姿





境内では四季おりおりの花を楽しむことができます。




  門をくぐりまっすぐ進むと本堂があります。




大晦日の日では除夜の鐘をつくことができます。




 
本堂の横に銭洗い亀がいます。




小さな遊び場もあり、子供の遊ぶ姿もみられます。




 
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